今週の結論
東京都は10月7日、2027年度の都内私立中学校について、生徒募集校180校・募集人員26,122人と公表した。前年は181校・26,034人で、募集人員は88人増えた。 東京都「令和9年度 都内私立中学校入学者選抜実施要項」
ただし、この+88人は学校側が設定する供給量の変化であり、志願需要や人気の変化ではない。2027年度の応募者数・倍率・入学者数はこの時点ではまだ分からない。
内訳は男子校5,872人(+15)、女子校8,962人(-37)、男女校11,288人(+110)。この数字だけから「共学人気が上がった」と結論することもできない。
もう一つの実務的な変更は工学院大学附属。10月9日、2027年度の適性検査型MTの検定料を1回10,000円と案内した。ただし、同日現在は東京都認可申請中である。 工学院大学附属「適性検査型MTの検定料について」
1. 東京全体――募集校180、募集人員26,122
| 区分 | 2027年度募集人員 | 前年差 |
|---|---|---|
| 男子校 | 5,872人 | +15 |
| 女子校 | 8,962人 | -37 |
| 男女校 | 11,288人 | +110 |
| 合計 | 26,122人 | +88 |
出典:東京都 2027年度実施要項 / 東京都 2026年度実施要項
東京都は、生徒非募集校として田園調布雙葉中学校、募集停止校として成女学園中学校、東邦音楽大学附属東邦中学校、帝京八王子中学校を明記している。また、現・藤村女子中学校は2027年4月1日から吉祥寺湧水中学校として共学化するとの注記がある。
ここから読めるのは供給構造である。募集枠の増減には、学校ごとの定員設計、募集停止、共学化、入試回の再編など複数の要因が入り得る。学校別の前年差を全校集計していない本号では、+88人の原因を特定の動きへ単純に帰属させない。
2. 2026年度の倍率7.1を、2027年度へ流用しない
東京都資料には2026年度の応募者186,301人、倍率7.1倍も掲載されている。しかし、それは前年実績である。2027年度は募集人員26,122人までしか確定しておらず、応募者数は未確定だ。
したがって、「募集枠が88人増えたから競争が緩和する」「男女校が110人増えたから人気が高い」といった結論はまだ置けない。
3. 工学院――10,000円は重要だが、まだ認可申請中
工学院大学附属は、適性検査型MTの検定料を1回10,000円と案内した。対象は2027年2月1日午前のMT①、2月6日午後のMT②で、一般入試の同時出願時の検定料とは別設定とされている。
ただし、学校公式自身が10月9日現在「東京都認可申請中」と明示している。受験費用に直接関わるため重要だが、最終確定情報として留保を外してはいけない。正式募集要項と認可結果を再確認する必要がある。
4. 学習指導要領――「案」から「審議まとめ」へ一段進む
文部科学省教育課程部会は10月5日、「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」を取りまとめた。 文部科学省「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」
前号でwatchしていた「案」から手続は一段進んだ。一方、これは新しい学習指導要領の告示そのものではなく、2027年度私立中入試の科目が直接変わったことを意味しない。
5. 立教池袋――出題コメントは有用だが制度変更ではない
立教池袋は10月9日、2027年度一般入試について各教科からの出題コメントを公開した。 立教池袋「中学校入試」
受験準備上は重要な一次情報だが、募集枠や日程・科目構成の変更とは別である。Weeklyでは「公開された情報の有用性」と「制度変更」を分ける。
6. 市場データ――日付の不整合があるなら数値trendを作らない
日能研は10月5日のインフォメーションで2027年入試の予想R4一覧を掲載したと告知している。一方、R4一覧本体で首都圏版として表示される日付は9月17日版である。 日能研「インフォメーション」 / 日能研「R4一覧【予想】」
この状態では、学校別数値の増減を今週の市場変化として安全に固定できない。R4自体も合格可能性を示す推計値で、人気そのものではない。
四谷大塚の第4回合不合判定テストは10月11日に日程を迎えたが、本号のResearchでは一般公開の公式学校別結果を固定できていない。 四谷大塚「公開テスト年間スケジュール」
7. 次に確認する動き
- 工学院の適性検査型MT検定料が認可され、正式要項へどう反映されるか。
- 東京都26,122人の学校別増減を、必要時に同じ定義で比較する。
- 2027年度の実応募者・実受験者・倍率が出た後、供給と需要を改めて接続する。
- 日能研R4の版表示が整合するか。
- 四谷大塚第4回合不合の一般公開可能な学校別データが出るか。
- 学習指導要領の審議まとめが答申・告示へどう進むか。
方法と限界
本号は2026年10月18日の復旧号である。対象期間内の日付を一次資料で確認できるclaimだけを採用し、現在知っている後続結果を当時既知だったかのように書いていない。
東京都の募集人員は供給指標であり、志願者数・実受験者数・倍率とは分離する。第三者の偏差値表・ランキングをbulk転載せず、データに不整合がある部分は結論を保留する。